突然の雨や長雨が続く梅雨シーズン、そして台風シーズンなど、さまざまな場面で活躍してくれるレインウェア。しかし、「雨の日しか着ないから」と油断して放置してしまうと、気づいたときには撥水機能が落ちていたり、生地が傷んでしまったりすることがあります。
実はレインウェアは、丈夫そうに見えて繊細な部分も多いアイテムです。きちんと洗濯し、乾燥させることで、防水・撥水効果を長期間キープできるだけでなく、カビや悪臭の発生も防ぎやすくなります。結果として、長く快適に着用できることにつながるのです。
「洗濯すると防水性が落ちるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、正しい方法でお手入れをすればまったく問題ありません。むしろ、生地表面の汚れやホコリをしっかり除去することが撥水機能維持のカギでもあります。ここでは、そんなレインウェアを長持ちさせる洗濯と干し方のコツを徹底解説していきます。
レインウェアを洗う前に、必ずチェックしたいのが「洗濯表示(ケアラベル)」です。アイテムによっては、「洗濯機NG」「ドライクリーニング推奨」「手洗い推奨」など異なる指示が明記されている場合があります。自宅で洗えるかどうか、洗濯機が使えるかどうかは、この表示を確認することで見極めが可能です。
もし洗濯機で洗えると記載があったら、その際の温度設定や洗剤の種類など、細かい指定も要チェック。さらに、アイロンがけの可否や乾燥機の使用可否にも目を通しておきましょう。洗濯表示に反した方法でケアすると、生地のコーティングが剥がれたり、撥水機能が落ちたりする原因になります。
また、新品のレインウェアを初めて洗う場合も油断は禁物です。購入時の段階でメーカーごとの特殊加工がされていることが多いため、説明書きが付属しているなら一度目を通しておくと安心です。せっかくの機能を損なわないよう、まずは正しい情報を集めるところから始めましょう。
洗濯表示をチェックしたら、まずは洗濯に入る前の下準備を行いましょう。泥はねや油汚れなど、目立つ汚れがある場合はあらかじめ部分洗いをしておくと、本洗いのときに落ちやすくなります。
部分洗いをするときには、柔らかいブラシやスポンジを使うのがコツです。強くこすりすぎると、生地の撥水コーティングが剥がれてしまうこともあるため、優しく丁寧に洗いましょう。洗剤は中性洗剤やスポーツウェア用の洗剤など、やさしい成分のものを使用すると生地へのダメージを抑えられます。
ファスナーや面ファスナー(マジックテープ)がある場合は、閉じたり留めたりしてから洗いに入ると、洗濯機の中での引っかかりや摩擦を減らせます。また、取り外しできるフードや装飾パーツがあるなら、外せるものは外しておきましょう。細やかな気遣いが、レインウェアを傷めずにケアする秘訣です。
洗濯機で洗えるタイプのレインウェアをケアするなら、いくつか押さえておきたいポイントがあります。まずは「洗濯コース」です。通常の洗濯コースだと回転が強すぎる場合があるので、できるだけソフト洗いや手洗いモード、またはドライコースなどを選択して、生地への負担を減らすのが基本となります。
洗剤選びも重要で、できる限り中性洗剤を選ぶとよいでしょう。漂白剤入りや柔軟剤入りの洗剤は、レインウェアの撥水機能を損ねる原因となる可能性があります。さらに、柔軟剤は繊維を柔らかくすることで水分を含みやすくし、撥水性を下げてしまうことがあるため、使用は避けるのが無難です。
洗濯ネットに入れるのも効果的です。生地同士や他の衣類との摩擦を軽減し、ファスナー部分やデリケートな撥水加工面の傷みを予防できます。洗濯時間もできるだけ短めに設定し、脱水は弱めか手絞りに近い状態で済ませましょう。強い脱水や長時間の洗浄は、生地の痛みを引き起こす主な原因のひとつです。
洗濯表示や素材の性質上、「手洗いがベスト」とされるレインウェアも珍しくありません。手洗いなら丁寧にすすぎや洗浄ができるため、極力ダメージを与えずに汚れを落とせるのが大きな魅力です。
手洗いをするときは、まず30℃以下のぬるま湯か水を入れた洗面器や浴槽、洗い桶などを用意し、中性洗剤を溶かします。次にレインウェアを浸して、優しく押し洗いを行いましょう。強く揉むのではなく、手のひらでそっと押し込むイメージで洗うと、生地の撥水面を傷めにくくなります。
洗い終わったら、汚れや洗剤が残らないように何度かすすぎを行い、最後に軽く押し絞って水気を切ります。脱水時にねじるように搾ると、撥水コーティングがダメージを受けやすいので要注意。洗濯機の弱脱水を使う場合は、短時間で済ませるようにしてください。
レインウェアの洗濯後は、干し方にもひと手間かけることで耐久性や撥水性を保ちやすくなります。まず、脱水後はすぐに形を整えてシワを伸ばし、ハンガーにかけて風通しの良い日陰で乾かしましょう。直射日光が当たる場所だと、紫外線で生地やコーティングが劣化する場合があるため、できるだけ避けたいところです。
乾燥機を使う場合は、洗濯表示で使用可能とされているかどうか必ず確認してください。乾燥機対応のレインウェアであっても、強い熱はコーティングを痛めるおそれがあるので、低温または送風モードを推奨します。
完全に乾く前に、一度軽く表面をチェックしながら仕上がりの状態を確認するのもおすすめ。もし、生地にシワが寄っているようなら、適度に伸ばしてから再度干してあげるとキレイに仕上がります。
洗濯を繰り返していくうちに、どうしてもレインウェアの撥水性能は低下していきます。しかし、それは買い替えのサインとは限りません。洗濯後のアイテムに市販の撥水スプレーを使うことで、ある程度は機能を復活させられる場合が多いのです。
撥水スプレーを使用するときは、屋外など換気の良い場所で行いましょう。レインウェアをハンガーにかけ、表面のホコリを払い、20〜30cmほど離して均一にスプレーを吹きかけます。厚塗りしすぎず、薄く何度か重ねるのがポイントです。乾燥してからもう一度薄くスプレーすると、より耐久性が上がることもあります。
また、一部の素材や加工タイプでは「アイロンの熱を弱めに当てる」ことで撥水効果が復活するケースも存在します。ただし、必ず低温であて布を使用しながら行いましょう。アイロンマークが禁止になっている場合はもちろんNGですので、事前に洗濯表示をチェックしてください。
レインウェアは、オフシーズンや出番が少ない時期にクローゼットや収納ケースにしまい込むことが多いアイテムです。そんなときにも、ちょっとした工夫で寿命を延ばすことができます。
まず、完全に乾いていることを確認してから収納することが大前提です。少しでも湿気が残っていると、カビや悪臭の原因になりかねません。さらに、収納ケースやクローゼットの中に除湿剤や防虫剤を入れておくと、生地にカビや虫食いが発生するリスクを抑えられます。
ハンガーに吊るして保管する場合は、フードや袖口を軽くたたんでシワにならないように注意しましょう。畳んでしまう場合には、できるだけ大きめにたたんで生地の折れ目が最小限になるよう工夫します。こうして通気を意識した収納を心がけることで、次のシーズンも快適にレインウェアを取り出せるはずです。
雨や風から身を守ってくれるレインウェアは、一度買ったら終わりではなく、きちんとケアをすることで長く愛用できるアイテムです。洗濯表示の確認からはじまり、部分洗い・正しい洗濯方法・干し方・撥水メンテナンスまでを一連の流れで行うことが、撥水性能の維持や生地のダメージ軽減につながります。
特に梅雨や台風シーズンなどで活躍したレインウェアこそ、使用後の汚れがこびり付いている可能性があるため、放置せずに早めのお手入れを心がけましょう。「洗ったり乾燥させたりするのが面倒…」と思うかもしれませんが、ほんの少しの手間でお気に入りのウェアを長持ちさせられると考えれば、コストパフォーマンスも大きく向上します。
ぜひ本記事を参考に、レインウェアの洗濯や干し方をマスターしてみてください。いつでもベストな状態で雨の日を迎えられれば、気分も上がり、憂鬱な天候を乗り越える力にもなるでしょう。しっかりとケアされたレインウェアは、あなたの雨の日の相棒として、長期にわたって活躍してくれるはずです。